矯正歯科治療成功の鍵を握る!診査・診断の重要性と医院選びのポイント

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監修者

大谷 淳二
院長
大谷歯科矯正歯科

経歴

平成 5年3月 愛媛県立松山東高等学校 卒業
平成13年3月 愛知学院大学歯学部 卒業
平成16年3月 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 卒業 (歯学博士)
平成19年~25年 広島大学大学院 歯科矯正学講座 助教
平成21年~22年 University of California San Francisco (UCSF) 客員教授
平成25年4月~ 大谷歯科矯正歯科 院長
椿小学校 校医
椿幼稚園 園医
はなみずき保育園 園医

資格

日本矯正歯科学会 認定医
日本顎咬合学会 認定医
日本アンチエイジング歯科学会 認定医
日本歯科人間ドッグ学会 認定医
日本口腔インプラント学会
日本先進インプラント医療学会
日本口蓋裂学会
日本顎変形症学会
日本舌側矯正歯科学会
中四国矯正歯科学会
日本歯周病学会
日本臨床歯周病学会
Bioprogressive Study Club

矯正歯科治療は、歯並びや噛み合わせを改善することで、美しい笑顔や健康な口腔環境を実現する素晴らしい治療です。しかし、治療を受ける前に知っておくべき重要なポイントがいくつかあります。

この記事では、矯正歯科治療の成功を左右する「診査・診断」の重要性と、後悔しないための医院選びのポイントを解説していきます。矯正歯科治療を検討している方は、ぜひ安心して治療に臨めるように準備を進めていきましょう!

矯正歯科治療における診査・診断の重要性

矯正歯科治療において、適切な診査と診断は、治療の成功を左右する非常に重要な要素です。

矯正歯科治療成功の秘訣は「診断」にあり

当院では、「治療の成功は7割が診断で決まる」と考えています。なぜなら、最初の診断で患者さんの状態を正しく把握し、適切な治療計画を立てることこそが、後の治療の経過を大きく左右するからです。

例えば、歯並びの悪さの原因が、骨格的な問題なのか、歯の生え方によるものなのかによって、適切な治療方法が変わってきます。また、患者さんのお口の状態や希望する治療内容なども考慮し、最適な治療プランを提案する必要があります。

なぜ矯正歯科治療前に診査・診断が必要なのか?

矯正歯科治療を始める前に、なぜ診査・診断が必要なのでしょうか?それは、当たり前のことですが、患者さん一人ひとりのお口の中の状態が異なるからです。歯並びや噛み合わせ、上下の顎骨、歯ぐきの状態など、様々な要素が複雑に絡み合っているため、同じように見える歯並びの悪さでも、その原因や治療方法は異なります。

適切な診断を行うことで、以下のことが明らかになります。

  • 歯並びや噛み合わせが悪くなった原因
  • 上下の顎骨の状態
  • 歯周組織の状態
  • 前歯や奥歯の移動量
  • 治療期間の見通し
  • 治療費用

これらの情報を基に、患者さんにとって最適な治療計画を立てていきます。

矯正歯科治療における診査・診断の目的

矯正治療における診査・診断の目的は、大きく分けて以下の2つです。

  • 患者さんの状態を正確に把握する
    レントゲン写真や歯の模型、口腔内写真などを用いて、歯並びや噛み合わせ、上下の顎骨、歯ぐきの状態などを詳細に調べます。
  • 最適な治療計画を立てる
    患者さんの状態を把握し、患者さんの希望も踏まえて治療目標を設定します。その上で治療方法や治療期間、費用などを具体的に計画します。

これらの目的を達成することで、患者さんは安心して治療に臨むことができ、より高い治療効果が期待できるのです。

矯正歯科治療における検査内容

矯正歯科治療の診査・診断では様々な検査が行われます。ここでは、代表的な検査内容を詳しく見ていきましょう。

矯正歯科治療 検査内容1:レントゲン撮影

レントゲン撮影では、歯や顎の骨の構造を詳細に観察できます。矯正歯科治療では、特に以下のレントゲン写真が重要です。

  • セファロレントゲン写真
    顔面全体の骨格と歯の位置関係が把握できます。同年齢の日本人標準値と重ね合わせることで、上下顎骨の成長や、歯の傾きのズレなどが明らかになり、これを治療計画に反映します。また、治療開始前・治療途中・治療終了後に必要に応じて撮影することで、途中経過や治療結果を評価することができます。
  • パノラマレントゲン写真
    上下の歯全体と顎の骨を一度に撮影できます。親知らずの状態や、埋まっている歯の有無などを確認します。
  • CBCT(コーンビームCT)
    上記の2次元レントゲン写真からは分からない、顎の中での歯の位置不正・気道・顎関節の形態・歯の生え方などを3次元的に詳しく分析します。

矯正歯科治療 検査内容2:口腔内写真撮影

口腔内写真撮影では、歯並びや噛み合わせの状態、歯の色や形、歯茎の状態などを記録します。治療前後の変化の比較や患者さんに現状を理解していただくために役立ちます。

矯正歯科治療 検査内容3:歯の型取り

歯の型取りは、歯の模型を作成するために必要です。歯の大きさ、顎の横幅、顎の縦幅などを、日本人標準値と比較することで、ガタガタの原因が、歯が大きいことに問題があるのか?、顎が小さいことに原因があるのか?を把握することができます。

近年では、従来のアルジネート印象剤(ピンク色の粘度のような素材)を用いた型取りに加えて、デジタルスキャナーを用いた3Dスキャンによる型取りも普及しています。

デジタルスキャナーは、光やレーザーを用いて歯の形状をデジタルデータとして取得する装置です。従来の印象材を用いた型取りと比較して、以下のようなメリットがあります。

  • 正確なデータ取得
    デジタルデータで取得するため、より正確な歯の模型を作製できる。
  • 患者さんの負担軽減
    粘土状の型取り材を口に含む必要がないため、嘔吐反射を起こしにくい。
  • シュミレーションの作成
    デジタルデータを利用して、治療のシュミレーションを作成し、治療ゴールを視覚的に確認することができます。
  • データ共有の容易さ
    デジタルデータは、他の歯科医院や歯科技工士と簡単に共有できるので、装置作製時間が短縮されます。

矯正歯科治療 検査内容4:歯周検査

歯周検査は、歯ぐきの状態を調べ、歯周病のリスクを評価する検査です。矯正歯科治療は、ご自身の歯を動かす治療です。そのため、健康な顎や歯肉の中を動かす必要があります。歯周病は、歯を支えている歯ぐきや骨や歯肉を破壊する病気であり、矯正治療を行う上で重要な要素です。

矯正歯科治療 検査内容5:顔貌写真撮影

顔貌写真撮影では、顔全体のバランスや、口元の状態を記録します。矯正歯科治療によって、顔貌がどのように変化するかを予測したり、治療効果を評価したりすることができます。

治療計画の立案と患者の希望とのすり合わせ

様々な検査結果を基に、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立案します。そして、治療計画を患者さんに説明し、ご希望やご要望を伺いながら、最適な治療方法を最終決定していきます。

矯正歯科治療 患者様の希望をヒアリング

矯正歯科治療を決定することは、患者さんにとって大きな決断です。そのため、患者さんの希望や要望をしっかりと把握する必要があり、矯正歯科治療で改善できることと・できないことを、お互いに共通理解しておく必要があります。ます。当院では、カウンセリングを通して、患者さんの希望を丁寧にヒアリングしています。

例えば、

  • どのような歯並びになりたいか
  • どのような審美的要求があるか
  • 治療期間や治療費用の目安
  • 治療中の痛みへの不安
  • どのような歯並びになりたいか
  • どのような審美的要求があるか
  • 治療期間や治療費用の目安
  • 治療中の痛みへの不安

など、患者さんが抱えている不安や疑問、期待などを詳しく伺います。

複数の治療オプションの提示

矯正歯科治療には、一つの正解があるわけではありません。患者さんの状態や希望によって、最適な治療方法は異なります。当院では、患者さんの状況を踏まえ、複数の治療オプションを提示し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを分かりやすく説明します。

例えば、

  • 装置の種類(表側・裏側・マウスピースなど)
  • 治療の範囲(全体・部分的)
  • 抜歯・非抜歯の必要性
  • 最終的な前歯の位置と口唇の形態(口ゴボ・イーライン)

など、患者さんにとって最適な治療方法を選択できるように、選択肢をご提示いたします。

抜歯の必要性について

矯正歯科治療において、歯を抜く必要があるかどうかは、患者さんの状態によって異なります。歯を抜くことで、歯列のスペースを作り、歯並びを改善できる場合があります。しかし、抜歯にはメリットだけでなく、デメリットもあります。

抜歯が必要かは以下の点で判断します。

  • 歯並びの悪さの程度
  • 顎の骨格の状態
  • 歯の大きさ
  • 患者さんの希望

抜歯をすると歯並びが改善するだけでなく、顎のバランスも整う場合があります。しかし、歯を抜くと、歯茎が下がるリスクや発音が変化するリスクなどもあります。

抜歯の必要性については、患者さんに分かりやすく説明し、納得した上で治療を進めていきます。

IPR(インタープロキシマルリダクション)について

IPR(Interproximal Reduction)とは、歯の側面を削って、上下の歯のバランスを整える治療を行うことです。矯正歯科治療では、患者さんご自身の歯を並べる治療です。当然のことながら、歯の大きさには左右差や形態異常が認められることもあります。

また、奥歯から前歯まできちんとした噛み合わせを獲得するためには、上下の歯の大きさのバランスが整っていることも重要です。必要に応じて、IPRを行う場合がありますが、その後に、知覚過敏やカリエスリスクが高くなっては意味がありません。削る量は、厳密に決める必要があります。

注意喚起
近年、マウスピース矯正が流行していますが、ガタガタを治すためのスペース作りの方法としてIPRが乱用されています。むやみに・過剰にIPRを行うことはオススメできません。主治医とよく相談の上、実行してください。

矯正歯科医院の選び方

矯正歯科治療は、長期にわたって通院する必要がありますので、歯科医院選びは、治療の成功を左右する重要な要素です。医院のホームページや口コミサイトの情報だけでは、十分な情報を得られない場合も多いです。そのため、2〜3か所の医院でカウンセリングを受けた上での比較検討をおすすめします。

矯正歯科医院を選ぶポイント1:カウンセリングの充実度

治療を受ける前に、歯科医師とじっくり相談できる環境が大切です。カウンセリングでは、

  • 患者さんの希望や要望を丁寧にヒアリングしてくれるか
  • 治療内容やリスクなどを分かりやすく説明してくれるか
  • ​​治療計画を複数提案してくれるか
  • 質問に対して、分かりやすく答えてくれるか

などを確認しましょう。安心して相談できる雰囲気かどうか、医師との相性も重要なポイントです。

矯正歯科医院を選ぶポイント2:検査機器・設備

矯正治療では、正確な診断と治療計画が不可欠です。そのため、最新の検査機器や設備を導入している医院を選ぶのをお勧めします。特に、

  • 口腔内スキャナー
  • 正面・側面セファロ(頭部X線規格写真)
  • コーンビームCT(CBCT)

などの設備があるかどうかを確認しましょう。これらの機器を活用すると、より精密な診断が可能となり、患者さんにとって最適な治療計画を立てられるのです。

矯正歯科医院を選ぶポイント3:治療方針の説明

治療内容、治療期間、費用、リスクなどについて、分かりやすく説明してくれる医院を選びましょう。説明を受けた上で、納得して治療を進められるかが重要です。

矯正歯科医院を選ぶポイント4:医師の専門性

矯正治療は、歯並びや噛み合わせを専門的に扱う治療です。日本では、矯正歯科を学んでいなくても、病院名に「矯正歯科」を標榜することができます。ホームページなどを確認し、日本矯正歯科学会認定医の資格を持つ歯科医師を選ぶことが大切です

日本矯正歯科学会認定医は、大学卒業後、大学院等での専門課程を経て取得することができる資格です。矯正治療の専門的な知識と技術を有しており、より高度な治療が提供できます。

矯正歯科医院を選ぶポイント5:料金体系の明確性

費用は、医院や治療方法によって異なります。治療を受ける前に、費用について事前に確認しておきましょう。治療費用の内訳が明確で、分割払いなどの支払い方法があるかどうかなども確認しておくと安心です。

矯正専門医でないクリニックで提供される矯正歯科治療は、一般的な相場よりも安い治療費を掲げていることがあります。矯正歯科治療は決して簡単な治療ではありません。値段の安さを医院選びの第一選択にしてはいけません。

また、顎変形症(骨格性の受け口や出っ歯)や5本以上の先天性欠損を有する症例など、厚生労働省が定めた先天性疾患に対する矯正歯科治療は、健康保険の適応となることがあります。健康保険適応となる矯正歯科治療は、顎口腔機能診断施設の認可を取得している歯科でのみ治療が可能です。認定医の資格とともに、顎口腔機能診断施設であるかの確認をホームページ等でチェックしましょう。

矯正歯科医院を選ぶポイント6:医院の雰囲気

医院の雰囲気も、矯正治療を受ける上で重要な要素です。清潔感があり、明るく、アットホームな雰囲気の医院がおすすめです。また、スタッフの対応が丁寧で、患者さんに優しい医院は安心感を感じるでしょう。

矯正治療は、数ヶ月から数年と長期間にわたる治療です。そのため、通いやすい場所にある医院を選ぶことも大切です。自宅や職場から通いやすい場所にあるかどうか、駐車場があるかどうかなども確認しておきましょう。

矯正歯科治療で得られるメリットと将来への影響

矯正歯科治療を受けることで、歯並びや噛み合わせが改善し、様々なメリットが得られます。ここでは、矯正歯科治療によって得られるメリットと、将来への影響について詳しく解説していきます。

矯正歯科治療で得られるメリット1:美しい歯並びと笑顔

矯正歯科治療の最大のメリットの一つが、美しい歯並びと笑顔を実現できることです。歯並びが整うと、自信を持って笑顔を見せることができ、社交性が増すため、コミュニケーション能力の向上にも繋がります。

矯正歯科治療で得られるメリット2:噛み合わせの改善

噛み合わせが悪いと、

  • 食べ物を噛み砕くのが困難になる
  • 顎の関節に負担がかかり、顎関節症を引き起こす可能性がある
  • 頭痛や肩こりの原因になる

などの問題が起こる可能性があります。矯正歯科治療によって噛み合わせが改善すると、これらの問題の解消が可能です。

矯正歯科治療で得られるメリット3:発音の改善

歯並びが悪いと、発音が不明瞭になる場合があります。矯正治療によって歯並びが改善すると、発音がクリアになり、コミュニケーションがスムーズになります。

矯正歯科治療で得られるメリット4:むし歯・歯周病予防

歯並びが悪いと、歯と歯の間に隙間ができやすく、歯垢や食べカスが溜まりやすくなります。歯垢や食べカスは、むし歯や歯周病の原因となる細菌の温床となります。矯正歯科治療によって歯並びが改善することで、歯垢や食べカスが溜まりにくくなります。結果、歯ブラシもしやすくなることでストレス軽減につながります。

矯正歯科治療で得られるメリット5:全身的な健康への影響

近年、歯周病と全身疾患との関連性が注目されています。歯周病は、心臓病や糖尿病、肺炎などの全身疾患のリスクを高める可能性があるとされています。矯正治療によって歯並びが改善することで、歯周病のリスクを減らし、全身的な健康を維持することができます。

まとめ|矯正治療は診査・診断と医院選びが成功の鍵

矯正歯科治療は、歯並びや噛み合わせを改善し、美しい笑顔や健康な口腔環境を実現する素晴らしい治療です。しかし、診査・診断をしっかり行わなければ、理想とする歯並びにならない場合があります。

そのため、後悔しない矯正歯科治療のために医院選びも重要です。検査・設備が充実している、専門知識を持った歯科医師が在籍している、カウンセリングをしっかり行ってくれる、などの医院をぜひ選んでくださいね。

大谷歯科矯正歯科では、患者さん一人ひとりの状態を丁寧に診察し、最適な治療計画を提案いたします。矯正歯科治療でお悩みの方は、まずはカウンセリングから、ぜひお気軽にお問合せください。

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