口呼吸や集中力低下は要注意!小児歯列矯正で子どもの成長をサポート

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監修者

中村佐和子
副院長 
中村歯科医院

経歴

副院長略歴
1987年 鶴見大学歯学部 卒業
1987年 都内某クリニック勤務
1990年 医療法人アリスバンビーニ小児歯科 勤務
1994年 あいしん歯科クリニック(小児歯科) 勤務
1998年 日本大学歯学部小児歯科学教室 非常勤医員
2000年 中村歯科医院 開院
2004年 日本大学松戸歯学部小児歯科研究員
2005年 医療法人社団 瑞芳会 中村歯科医院 設立
2007年 日本小児歯科学会 認定医取得
2009年12月 日本小児歯科学会 専門医取得
2012年12月 日本大学松戸歯学部 歯学博士号取得
2013年04月~ 日本大学松戸歯学部 小児歯科学 兼任講師

資格

日本大学松戸歯学部小児歯科兼任講師
日本小児歯科学会 関東地方大会 幹事
小児歯科専門医
PRGF System Institute Japan 理事、指導医
日本矯正歯科学会
日本小児歯科開業医会(JSPP)
筋機能研究会
日本顎咬合学会 かみあわせ認定医
Myofunctional Therapis

「最近、うちの子、口呼吸が多い気がする…」「授業中も集中力が続かないみたいで…」

お子さんの様子を見て、そんな風に思っていませんか?もしかしたら、それは歯並びが原因で起こっている可能性があります。

実は、子どもの歯並びは、呼吸や咀嚼(かむ機能)の改善を通じて全身の健康にも大きな影響を与えます。特に、顎が小さく、口呼吸や睡眠時無呼吸症候群などが見られる子どもには、早期の介入が大切です。

この記事では、子どもの成長と歯並びの関係性、小児歯列矯正の必要性、そして親御さんが気づくべきサインについて詳しく解説していきます。ぜひ最後まで読んで、お子さんの健やかな成長をサポートするためのヒントを見つけてください。

子どもの成長と歯並びの関係性

子どもの成長期は、体の様々な部分が大きく発達する重要な時期です。そして、その発達に大きく関わっているのが、歯並びと口腔機能です。

子どもの口呼吸と健康リスク

「口呼吸」とは、口を開けて呼吸をする状態のこと。鼻呼吸ができない、またはできないと感じることで、口で呼吸をするようになります。コロナ禍で口呼吸をする人が増えたとも言われています。それは、マスクを着用していた期間が長かったことが要因の一つと考えられています。

口呼吸は一見、何でもないように思えるかもしれませんが、子どもの健康に様々な悪影響を及ぼす可能性があるのです

具体的には、口呼吸によって、燥した空気が直接気管支や肺に入ってしま。すると、風邪や気管支炎などの呼吸器系の病気にかかりやすくなってしまいます。また、口の中が乾燥しやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクも高まります。

さらに、口呼吸は、顔の骨格の発達にも悪影響を与えます。口を常に開けていると、顎が十分に成長せず、狭くなってしまう可能性があるのです。顎が狭くなると、歯が並ぶスペースが不足し、歯並びが悪くなったり、かみ合わせが悪くなったりしてしまいます。[1]

子どもの集中力と歯並びの関係

「最近、子が落ち着きがない」「授業中に集中できない」と感じたことはありませんか?実は、集中力と歯並びにも密接な関係があるのです。

適切な咀嚼(噛むこと)は、脳への血流を促進し、脳を活性化させる効果があります。特に、奥歯でしっかりと噛む動作は、脳の血流を増加させ、酸素供給を促進すると言われています。そのため、奥歯でしっかりと噛むことのできない子どもは、脳への血流が不足します。その結果、集中力が低下したり、記憶力や学習能力が低下したりする可能性があるのです

また、口呼吸によって脳への酸素供給が減少し、集中力の低下や疲労感、眠気などを招く可能性も考えられます

顎の成長と歯並びの関係

顎の成長は、歯並びに大きく影響します。顎が小さいと、歯が並ぶスペースが不足し、歯並びが悪くなったり、歯が重なり合ったりする原因になります。

また、顎の成長が不足すると、口呼吸になりやすくなったり、顔のバランスが悪くなったりする可能性もあります。[2]

特に、乳歯が生え始める時期から、顎の成長を促すことが大切です。適切な時期に歯列矯正を行うことで、顎の成長を促し、歯並びの改善が期待できます。

正しい口腔機能と健康な成長

口腔機能とは、口の中の様々な機能のことを指します。例えば、食べる、話す、呼吸をする、などです。

これらの機能が正しく発達すると、子どもの成長や健康に良い影響を与えます。具体的には

食事をしっかり噛めるようになる:消化吸収が促進され、栄養を効率的に摂取できるようになります。

発音がクリアになる:言葉がスムーズに話せるようになり、コミュニケーション能力が向上します。

呼吸がスムーズになる:鼻呼吸が促進され、風邪などの呼吸器系の病気にかかりにくくなります。

顔の骨格がバランスよく発達する:美しい顔立ちになり、自信を持てるようになります。

集中力や学習能力が向上する:脳への血流が促進され、学習効果が高まります。

睡眠の質が向上する:口呼吸によるいびきや睡眠時無呼吸症候群の改善に繋がります。

これらの効果は、子どもの将来の健康や成長に大きく貢献します。特に、グレーゾーンの子どもも、健常児として成長できる可能性が高まります。そのため、口腔機能の発達を早期に促すことが重要です。

小児歯列矯正の必要性

子どもの歯並びに問題がある場合、小児歯列矯正を行うことで、様々なメリットが期待できます。ここでは、小児歯列矯正のメリットについて、健康面と見た目の変化という2つの側面から詳しく解説していきます。

小児矯正のメリット:健康面への効果

小児矯正は、歯並びを整えるだけでなく、子どもの健康にも大きく貢献します。特に、口呼吸や顎の成長に関する問題を抱えているお子さんには、早期の介入が有効です。

子どもの睡眠の質向上

口呼吸は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクを高める要因の一つです。睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気で、日中の眠気、集中力低下、学習能力の低下、高血圧、心臓病などのリスクを高めるといわれています

小児矯正によって歯並びや顎の骨格を整えると、口呼吸を改善し、睡眠時無呼吸症候群のリスクが軽減できます。睡眠の質が向上すると、お子さんの成長ホルモンの分泌が促進され、健やかな成長が期待できるのです。

集中力アップと学習能力への影響

前述した通り、適切な咀嚼は脳を活性化させ、集中力や学習能力の向上に繋がります。奥歯でしっかりと噛めるようになると、脳への血流が促進され、集中力や記憶力、学習能力の向上が期待できます

また、口呼吸によって酸素が不足すると、脳への酸素供給が減少し、集中力の低下や疲労感、眠気などを招く可能性も考えられます。小児矯正によって鼻呼吸を促せば、集中力アップが期待できます。

呼吸器系疾患予防

口呼吸は、風邪や気管支炎などの呼吸器系の病気にかかりやすくなる原因の一つです。鼻呼吸を促すことで、乾燥した空気が直接気管支や肺に入らないため、呼吸器系疾患のリスクを軽減できます。

全身の健康への影響

歯並びが悪いと、しっかりと噛むことができず、消化不良を起こしやすくなります。消化不良は、栄養素の吸収を阻害し、成長や発達に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、歯並びが悪いと、顎の関節に負担がかかり、顎関節症を発症するリスクも高まります。顎関節症は、顎の痛みや口が開けにくい、といった症状を引き起こし、日常生活に支障をきたす場合があります。

小児矯正によって歯並びや噛み合わせを改善すれば、それらのリスクの減少が期待できるのです。

小児矯正のメリット:見た目の変化

歯並びが整うと、見た目の印象も大きく変わります。美しい歯並びと笑顔は、お子さんの自信とコミュニケーション能力の向上に繋がります。

美しい歯並びと笑顔

歯並びが悪いと、見た目の印象が悪くなったり、コンプレックスを抱いたりする可能性があります。特に、成長期のお子さんにとって、見た目は非常に重要な要素です。

歯並びが改善すると、見た目が美しくなり、自信を持って笑顔を見せられるようになるでしょう。

自信とコミュニケーション能力の向上

歯並びがコンプレックスになっていると、人前で話すのを避けてしまったり、笑顔を見せるのをためらったしてしまいます。そのため、コミュニケーション能力が低下してしまう可能性があります。

小児矯正によって歯並びが改善すると、自信を持って笑顔を見せられるようになり、周りの人とのコミュニケーションも円滑になります。積極性や社交性も高まり、お子さんの成長に大きく貢献するでしょう。

小児歯列矯正:親御さんが気づくべきサイン

では、具体的にどのようなサインに気を付けていれば良いのでしょうか?

ここでは、親御さんが気づくべきサインをいくつかご紹介します。

以下のポイントに当てはまるものがあれば、一度歯科医院の受診をおすすめします。

1:「お口ポカン」や口呼吸の習慣

お子さんが、いつも口を開けて呼吸をしている状態(口呼吸)になっていませんか?

2:食べ物が噛みにくい、飲み込みにくい

お子さんが食事中に、いつもより時間がかかってしまう、または食べ物をうまく噛めない、飲み込めないといったことはありませんか?

3:歯並びの乱れや不正咬合

お子さんの歯並びが乱れていたり、歯が重なっていたり、出っ歯や受け口になっていませんか?

4:顎の成長の遅れ

お子さんの顎が小さく、顔全体のバランスが崩れていませんか?

5:姿勢が悪くなってきた

お子さんの姿勢が悪くなってきた、猫背気味になっているといったことはありませんか?
歯並びや噛み合わせの悪さが原因で、姿勢が悪くなっている場合もあります。特に、顎の成長が不足している場合、姿勢が悪くなりがちです。

7:食事の時間が長くなっている

いつもより食事の時間が長くなっている、なかなか食べ終わらないといったことはありませんか?
これは、歯並びや噛み合わせが悪いために、うまく食べ物を噛むことができない状態である可能性があります。

8:柔らかいものしか食べられない

お子さんが、硬い食べ物を噛むのを嫌がる、または柔らかいものしか食べられないといったことはありませんか?
これは、歯並びや噛み合わせが悪いために、硬い食べ物を噛むのが辛い状態である可能性があります。また、顎の力が弱くなっている可能性もあります。

9:言葉が聞き取りにくい

お子さんの言葉が聞き取りにくい、発音が不明瞭といったことはありませんか?
これは、歯並びや噛み合わせが悪いために、舌の動きが制限されている可能性があります。

10:歯ぎしりや食いしばり

お子さんが、寝ている間に歯ぎしりや食いしばりをしていることはありませんか?
歯ぎしりや食いしばりは、ストレスや睡眠の質の悪さなどが原因で起こる場合もあります。ですが、歯並びや噛み合わせの悪さが原因で起こる場合もあります。

11:口呼吸による乾燥や鼻詰まり

口呼吸によって口の中が乾燥している、鼻詰まりがといったことはありませんか?

子どもの様子から早期に気づくことが大切

これらのサインに気づいたら、まずはお気軽に歯科医院にご相談ください。早期に上記のような問題を発見し、適切な対応がお子さんの健やかな成長をサポートできます。

まとめ|子どもの成長をサポートする小児歯列矯正

この記事では、子どもの成長と歯並びの関係性、小児歯列矯正の必要性、そして親御さんが気づくべきサインについて解説しました。

小児矯正は、集中力アップ、睡眠の質向上、呼吸器系疾患予防など歯並びを整えるだけでなく、子どもの健康や成長にも大きく貢献します。

そのため、お子さんの歯並びや口腔機能に不安がある場合は、歯科医院を早めに受診しましょう。お子さんの成長をサポートするためには、専門医による適切な診断と治療が重要です。歯科医院では、お子さんに合わせた最適な治療方法から歯磨き方法などについても丁寧に指導してもらえます。

お子さんの成長と、輝く笑顔のために、ぜひ小児矯正について考てみてください。少しでも心配なことがあれば、ぜひ東京都江東区にある中村歯科医院にご相談ください。

中村歯科医院では、お子さんの成長と発達に合わせた、丁寧な診療を心がけています。お子さんの未来を輝かせるためにも、お気軽にご相談くださいね。

参考文献

[1]コロナ禍でのマスク生活の弊害〜口呼吸が与える健康被害|https://isom-japan.org/article/article_page?uid=PYiEV1685609286

[2]小児の睡眠関連呼吸障害と顎顔面形態との関連性について|https://www.jstage.jst.go.jp/article/josm/7/1/7_39/_pdf/-char/ja

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