なぜ歯医者は自費の根管治療を勧めるのか?その理由とメリットをわかりやすく解説

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監修者

中野陽平
院長
浜松歯科

経歴

鹿児島大学 卒業
鹿児島大学医学部歯学部付属病院歯科総合診療科 研修
鹿児島市内根管治療専門院 副院長
鹿児島市立病院口腔外科 非常勤勤務
都内インプラントクリニック 医長
浜松歯科 理事長

「根管治療が必要だけど、保険診療と自費診療どっちがいいの?」

そういったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

「長く自分の歯を残したい」と願う患者様にとって、根管治療は重要な選択を迫られる治療です。しかし、その治療方法や費用について十分に理解しないまま、治療を受けてしまうケースも少なくありません。

そこで今回は、保険診療と自費診療の根管治療の違いを詳しく解説していきます。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、ご自身に最適な治療法を選択しましょう。

根管治療とは?

そもそも根管治療とは、どのような治療なのでしょうか。まずは、根管治療の基礎知識から見ていきましょう。

根管治療の目的

歯の構造は、大きく分けて「エナメル質」「象牙質」「歯髄」の3層構造になっています。歯の表面を覆うエナメル質は人体で最も硬い組織ですが、その内側に通っているのが象牙質や歯髄、神経や血管です。

虫歯が進行すると、細菌はエナメル質、象牙質を通過し、歯の神経を含む歯髄に到達します。歯髄にまで達した虫歯菌は、激しい痛みや炎症を引き起こしてしまいます。根管治療は、この歯髄組織を完全に取り除き、洗浄・消毒した後に薬剤を詰めることで、細菌感染から歯を守る治療です

根管治療の最大の目的は、歯を抜かずに残すことです。重度の虫歯になってしまった場合でも、根管治療を行えば、自分の歯で噛み続けられる可能性が残されます。

根管治療が必要になるケース

根管治療が必要となる主なケースは以下の通りです。

・虫歯が歯髄まで進行している場合
・歯の破折などで歯髄が露出してしまった場合
・過去に根管治療を受けた歯が再発した場合

虫歯が進行し、歯髄にまで達してしまうと、自然治癒は望めません。放置すると、歯の根の先端に膿が溜まり、歯茎が腫れたり、激しい痛みを感じたりするなど、症状が悪化する可能性があります。重症化すると、顎の骨にまで悪影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。

根管治療の流れ

一般的な根管治療の流れは以下の通りです。

治療ステップ内容
診査・診断レントゲン撮影や視診により、虫歯の進行状態や歯根の状態などを詳しく確認します。
麻酔治療中の痛みを軽減するために、局所麻酔を行います。
虫歯の除去虫歯に感染した部分を専用の器具を用いて丁寧に除去します。
根管の長さ・形を確認歯髄を取り除くための細い管(根管)の長さや形を専用の器具やレントゲンを用いて正確に測定します。
歯髄の除去・根管の清掃・消毒専用の器具を用いて、歯髄を完全に取り除き、根管内を洗浄・消毒します。
根管充填根管内を乾燥させた後、ガッタパーチャと呼ばれるゴム状の材料とシーラーと呼ばれる薬剤を用いて、隙間なくしっかりと充填します。
被せ物・詰め物の装着根管治療が完了した歯は、脆くなっているため、強度を補うために被せ物や詰め物を装着します。

「保険診療」と「自費診療」の根管治療は何が違う?

「根管治療には、『保険診療』と 『自費診療』の2種類があります。どちらも治療の目的は同じですが、治療内容や費用、使用する機材などに違いがあります。

保険診療と自費診療、それぞれのメリット・デメリット

保険診療と自費診療、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

自費診療保険診療
メリット・自由診療のため、患者様の症 状やご要望に 合わせた最適な治療計画を立てられる
・治療に使用する材料や機材に制限がないた め、より精密な治療が可能
・再発リスクを低減できる可能性がある
・治療費が安価である

・全国の歯科医院で治療を受けられる
デメリット・治療費が高額になる
・使用できる材料や治療時間に制限があるため、治療の精 度に限界がある場合がある
・自由診療に比べて治療回数が多くなる傾向がある

治療時間の違い

保険診療では、限られた時間内で多くの患者様を診察する必要があるため、1回の治療時間が短く設定されています。そのため、どうしても治療が短縮され、簡略化されてしまう傾向があります。

一方、自費診療では、治療時間や回数に余裕があるため、1回あたりの治療時間を長くとることができます。時間をかけて丁寧に治療を行うことで、より精密で質の高い治療の提供が可能となります。

使用機材の違い

使用する機材にも違いがあります。保険診療では、使用できる材料や機材が決められています。そのため、最新の機材や薬剤が使用できないケースも少なくありません。

一方、自費診療では、治療費に制限がないため、より高品質な材料や機材を自由に選択することができます。例えば、ラバーダム防湿という治療成績を向上させるための器具も、保険診療では使用が認められていません。精密な治療に不可欠なマイクロスコープ、CTなども、自費診療であれば導入している歯科医院も少なくありません。

 費用の違い

保険診療の場合、根管治療の費用は、1本あたり1万円前後が相場です。ただし、治療回数や使用する材料によっては、費用が変動する可能性があります。

一方、自費診療の場合、根管治療の費用は歯の状態や治療内容によって異なりますが、1本あたり10万円〜30万円程度が相場です。保険診療と比較して高額にはなりますが、再発リスクの低減や、歯の寿命の延長といったメリットも考慮する必要があります。

自費診療の根管治療を選ぶメリット

「歯の寿命」という観点から、自費診療の根管治療を選択するメリットについてさらに詳しく解説していきます。

再発リスクの軽減

自費診療では、ラバーダム防湿やマイクロスコープの使用など、治療の精度を高めるための工夫が可能です。これらの工夫により、根管治療の成功率を高め、再発リスクの低減が可能です

歯の寿命を延ばす

歯は一度失ってしまうと、二度と元に戻ることはありません。自費診療の根管治療は、歯の寿命を延ばす可能性を高めるための投資と言えるでしょう。時間をかけて丁寧に治療を行うと、歯の根の先端までしっかりと消毒し、細菌感染のリスクを最小限に抑えられます。

精密な治療が可能

自費診療では、マイクロスコープを用いると、肉眼では確認できない歯の細部まで確認しながら、より精密な治療を行うことが可能です

審美性の向上

自費診療では、セラミックなどの審美性に優れた素材を使用した被せ物や詰め物を選ぶことができます。天然歯に近い色や質感で仕上げることで、自然な仕上がりの実現が可能です。

根管治療に関するよくある質問

Q. 根管治療は痛いと聞きますが、実際はどうですか?

A. 根管治療は、歯の神経を取り除く治療であるため、強い痛みを伴うイメージを持たれがちです。しかし、近年では麻酔技術の進歩により、ほとんど痛みを感じることなく治療を終えることができるようになっています。痛みに不安を感じる場合は、治療前に医師にご相談ください。

Q. 根管治療後の歯は、どれくらいもちますか?

A. 根管治療後の歯の寿命は、治療の精度や患者様の毎日のケア、歯ぎしりなどの生活習慣によって大きく異なります。しっかりとケアをすれば、その後も長く自分の歯を使い続けることができます。治療後のメインテナンスも重要ですので、定期的に歯科医院を受診するようにしましょう。

Q. インプラント治療と根管治療は、どちらが良いのでしょうか?

A. 基本的には、自分の歯を残せる可能性がある場合には、根管治療を選択することが望ましいです。インプラント治療は、失ってしまった歯を補うための有効な治療法ですが、天然歯には勝るものはありません。浜松歯科では、患者様一人ひとりの口腔内の状態やお気持ちを考慮した上で、最適な治療法をご提案させていただきます。まずは一度ご相談ください。

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まとめ|自分に合った治療法で大切な歯を守りましょう!

今回は、保険診療と自費診療の根管治療の違いについて解説しました。根管治療は、歯の寿命を左右する重要な治療です。治療方法によって、費用や治療期間、得られるメリットも大きく異なります。費用の安さだけで選択するのではなく、将来を見据えて、ご自身の口腔内の状況や価値観に合った治療法を選択することが大切です。

浜松歯科では、患者様一人ひとりに最適な治療を提供できるよう、保険診療、自費診療ともに対応しております。根管治療についてお悩みの方、疑問点がある方は、お気軽に当院までご相談ください。

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