もう削らない!歯を守る「精密なセラミック治療」最新情報

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監修者

池畠 光朗
院長
中津浜デンタルクリニック

経歴

2016年 岡山大学歯学部卒業
2016年 医療法人スマイルプラン 入職
2020年 スマイルプラン歯科クリニック西宮 院長就任
2024年 中津浜デンタルクリニック 入職 院長就任

資格

日本臨床歯科学会東京支部(東京SJCD)
日本口腔インプラント学会 専修医
インビザライン Platinum Elite Provider 2022~2024
東京SJCD Micro Veneer Course Assistant Instructor

「セラミック治療はしたいけど、できることなら歯を削りたくない…」

そうお考えの方は少なくないのではないでしょうか?

従来のセラミック治療では、健康な歯の一部まで大きく削る必要があり、抵抗を感じる方もいらっしゃいました。しかし、歯科医療の進歩により、「極力歯を削らない精密なセラミック治療」という新しい選択肢が登場しました。ただ、この精密なセラミック治療には、最新の機器を使いこなす経験豊富な歯科医師と歯科技工士の技術が欠かせません。

今回は、精密なセラミック治療について、そのメリットや治療方法などを詳しく解説していきます。最新の治療法を知り、歯への負担を最小限に抑えながら美しい歯を手に入れましょう。

従来のセラミック治療とは

美しい歯を手に入れるための治療として、セラミック治療は一般的になってきました。しかし、従来のセラミック治療では、健康な歯の一部まで大きく削る必要がありました。そのため、「歯を削るのが怖い」「抵抗がある」といった声が患者様から聞かれていました。

従来のセラミック治療の問題点

従来のセラミック治療では、セラミック製の被せ物や詰め物の強度を保ちながら歯にしっかり固定するために、周囲の健康な歯を大きく削る必要がありました。セラミック治療の性質上、ある程度の厚みを持たせる必要があったためです。しかし、セラミック治療の際に削られていたエナメル質は、細菌やウィルスなどの侵入を防ぎ、酸や温度感覚の刺激から歯を守る働きがあります。

歯の寿命を長くするためにはエナメル質の温存が大切です。

歯を削るリスクとデメリット

リスク、デメリットを以下にまとめました。

リスク・デメリット詳細
歯の神経へのダメージ歯を深く削ることで、歯の神経にダメージを与えてしまい、神経を抜く治療が必要になる場合があります。
歯の強度低下歯は削れば削るほどもろくなり、将来的に虫歯や破折のリスクが高まります。
知覚過敏歯を削ることで、冷たいものや熱いものがしみやすくなる知覚過敏を引き起こすことがあります。

これらのリスクやデメリットを踏まえ、歯科医療においては「できる限り歯を削らない治療」が重要視されています。そして、その考え方がセラミック治療にも取り入れられ、精密なセラミック治療が注目されているのです。

歯を極力削らないセラミック治療とは?

セラミック治療においては、歯を極力削らずにセラミック製の被せ物や詰め物を装着することが大切です。従来のセラミック治療で必要だった、健康な歯を大きく削るステップを最小限に抑えられるため、歯への負担が少なく、健康な歯を長く保てます。

最小限の切削で済む理由

経験豊富な歯科医師が最新のマイクロスコープなどを使用することで、肉眼では難しい精密なセラミック治療が可能になります。削る量が少なくなる分、薄い被せ物を作る必要がありますが、これには優れた技工士との連携が欠かせません。経験豊富な歯科医師と技工士が協力することで、歯を大きく削らずに、しっかりとした強度を持ち、自然な色の被せ物や詰め物を作ることができます。また、歯の表面に薄いセラミックを貼り付けるラミネートベニア治療では、更に歯をほとんど削らずに済むのが特徴です。

精密なセラミック治療のメリット・デメリット

精密なセラミック治療には、多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。治療を受ける前に、メリット・デメリットをしっかりと理解しておくことが大切です。

項目メリットデメリット
歯への負担歯をほとんど削らないため、歯への負担が少なく、健康な歯を長く保てます。
審美性自然な歯に近い色や質感を持つセラミックを使用するため、美しい仕上がりを得られます。
耐久性セラミックは耐久性に優れているため、長期間にわたって使用できます。セラミックは銀歯と比べて、強い力が加わると破損する可能性があります。
費用保険適用外となるため、費用が高額になる傾向があります。

極力歯を削らないセラミック治療の種類

精密なセラミック治療には、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った治療法を選択しましょう。

ラミネートベニア

ラミネートベニアは、歯の表面に薄いセラミック製のシェルを貼り付ける治療法です。歯の色や形、軽度の歯並びの悪さを改善する効果があります。また、ラミネートベニアは天然歯そのものを多く残すことが出来るため強度が強く、割れにくいです。歯をほとんど削らずに治療することで、エナメル質を保存できる点が最大のメリットですが、既に治療を受けていたりしてエナメル質の多くを失っている場合は適応外となることもあります。

セラミックインレー・アンレー

セラミックインレー・アンレーは、虫歯などで削った部分に、セラミック製の詰め物を詰める治療法です。従来の金属製の詰め物と比べて、審美性に優れている点、金属アレルギーの心配がない点、確実な接着により虫歯の再発を最大限抑えることができる点などがメリットとして挙げられます。ただし、虫歯の大きさや部位によっては、適用できない場合があります。

セラミッククラウン

セラミッククラウンは、ジルコニアと呼ばれるとても強度の高いセラミックや、インレー・アンレーで使用する審美性の高いセラミックで作製する被せ物のことです。セラミックは生体親和性が高く、金属アレルギーの心配がありません。また、歯の色調とよく馴染むため、自然で美しい仕上がりを得ることができます。また、歯と同じ様な物性であるため、歯そのものを守ることに非常に適しています。

精密な治療が難しい被せ物

一方で、保険診療内で行える治療は、使用できる被せ物が限られています。精密治療に比べて使用する器具が限られてしまったり、被せ物その物の性質がセラミックに比べて劣るため、精密な治療が難しくなってしまいます。具体的に、保険適用内で使用できる被せ物を見ていきましょう。

銀歯

虫歯治療では、削った歯の大きさや場所に応じて、詰め物や被せ物をする治療が行われます。保険診療で適用される材料は限られており、奥歯では銀色の「金銀パラジウム合金」、前歯では見た目に配慮してプラスチックの材料に白い陶材を焼き付けた「硬質レジンジャケット冠」が使われるのが一般的です。これらの詰め物や被せ物を総称して「銀歯」と呼ぶことがあります。セラミックと比較して、汚れがつきやすいことと接着力が低いため、歯への維持(引っかかり)を保つために健康な歯を削る必要があります。

ハイブリットレジン

ハイブリットレジンとは、超微粒子のセラミックと、プラスチックを混合させた白い被せ物です。2014年4月の健康保険法の改正により保険適用となりました。白い被せ物のため、銀歯よりも目立ちにくく、金属アレルギーを起こさないメリットがあります。しかし、セラミックと比べて強度が劣るため破折防止のために厚みを保つ必要があり、こちらも健康な歯を削る必要があります。また、ハイブリットレジンが保険適用になるには、多くの条件が存在するため部位によっては適応外となることもあります。

各補綴物の比較表      

自費診療のセラミックを使用した補綴物と、保険診療で使用されるハイブリットレジン、銀歯の比較表を以下にまとめました。

ラミネートベニアセラミックインレー・アンレーセラミッククラウン ハイブリッドレジン銀歯
耐久性5年〜10年〜10年〜1~3年程度2~5年程度
審美性✖️
治療費120,000円〜(自費診療)55,000円〜(自費診療)120,000円〜(自費診療)6000円程度(保険適用)5000円程度(保険適用)
歯への負担◎(歯をほとんど削らない)
(歯を削る量が少ない)
△(被せ物の厚みを取るために削る)×(被せ物をしっかりと維持させるために健康な歯を削る)
引用文献1: インレーは3〜5年以内に再治療になる可能性について。
引用文献2: セラミックが10年ほど持つという内容について。

精密なセラミック治療の費用相場

精密なセラミック治療は、自由診療となるため、保険は適用されません。費用は、治療法や使用するセラミックの種類、治療する歯の本数などによって異なります。

当院のセラミック治療に関する費用はこちらをご覧ください

精密なセラミック治療に関するよくある質問

精密なセラミック治療について、患者様から多く寄せられる質問と回答をまとめました。

Q. 精密なセラミック治療は、どのくらい持ちますか?

A. 治療法や毎日のケア、歯ぎしりなどの癖によって異なりますが、一般的には10年以上持つと言われています。セラミックは、汚れや細菌が付着しにくい素材であるため、しっかりとケアをすることで、より長持ちさせることができます。

Q. 治療中の痛みはありますか?

A. 歯を削る治療法の場合、麻酔を使用するため、治療中の痛みはほとんどありません。麻酔が切れた後も、ご希望があれば痛み止めを処方しますので、ご安心ください。

Q. 精密なセラミック治療は、どこで受けることができますか?

A. 経験豊富な歯科医師と歯科技工士がいるからこそできる治療なので、全ての歯科医院で治療を受けられるわけではありません。精密なセラミック治療に対応している歯医者を探しましょう。治療を受ける際は、歯科医師の経験や実績、マイクロスコープなど医院に精密なセラミック治療を行う設備が整っているかなどを確認することが大切です。

まとめ|自分に合った治療法で、美しい歯を手に入れよう!

今回は、精密なセラミック治療について解説しました。従来のセラミック治療と比較して、歯への負担が少ないという大きなメリットがあります。歯の治療に不安や抵抗がある方でも、安心して治療を受けることができるでしょう。

兵庫県西宮市にある中津浜デンタルクリニックでも、精密なセラミック治療についてのご相談を承っております。経験豊富な歯科医師と歯科技工士が協力しながら歯の健康のために最善を尽くしております。お気軽にお問い合わせください。

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