インプラント治療とは?メリット、デメリットを理解しよう

監修者

足立 真基
歯科医師
あだち歯科クリニック

経歴

神戸大学発達科学部 卒業
長崎大学歯学部 卒業
長崎大学病院 口腔外科 勤務
名古屋市の歯科医院 勤務
2022年7月 あだち歯科クリニック開業

資格

日本口腔インプラント学会 専修医
日本口腔外科学会 認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定歯科医師
日本矯正歯科学会 会員
日本成人矯正歯科学会 会員
Align社 インビザラインGo 認定医
日本顎咬合学会 会員
長崎大学病院口腔外科 研究協力員
長崎大学口腔インプラント学分野 登録研修医
私は、生涯ご自身の歯でお食事や会話ができ、笑顔で過ごせることが何よりの幸せだと考えております。そのために、歯周病の治療や予防、将来のあるお子さまのむし歯予防などで、お口の健康をサポートさせていただくことが使命だと感じております。
また、むやみに歯を削ったり抜いたりすることをせず、できる限り歯を残す治療を行うように心がけてまいります。

「インプラント」は虫歯や歯周病などで歯を失った場合に用いられる歯科治療の一つです。

「インプラント」と聞くと歯科治療を思い描く方が多いと思います。ですが、「インプラント」は体内に埋め込む医療器具のことを指し、歯科治療以外でも「インプラント」という言葉は使用されています。

「インプラント」と聞くと歯科治療を連想する方が多くなった理由は歯科治療でよく施術されているため、といわれています。

今回の記事では、歯科治療における「インプラント」について、具体的な治療内容、他治療との違い、メリット、デメリットについて解説していきたいと思います。

 

インプラント治療は失った歯を再現させる治療法

 

歯が失われる原因として最も多い原因は「歯周病」や「むし歯」といわれています。歯周病やむし歯が進行し、歯を支える組織が炎症、破壊を起こすと抜歯せざるをえなくなるのです。[1]

1.インプラント治療の方法

インプラント治療は失った歯を再現するために、人工的な歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付けます。インプラントに使用される人工的な歯根は、生体適合性の高いチタン等が使用されます。そのため、顎の骨としっかり結合でき、上にのせる人工の歯をしっかりと支えられるようになるのです。

インプラント治療は一般的には3つのステップからなります。

  1. 顎に穴をあけ、インプラント体と呼ばれる人工的な歯根を埋め込む手術
  2. 骨とインプラント体が結合する期間
  3. 人工の歯を取り付ける工程

上記のステップを踏んで治療していくため、治療期間は長くかかってしまいます。

2.失った歯を再現させるその他の治療法

失った歯の治療はインプラント以外にも入れ歯ブリッジといった選択肢が挙げられます。これらは保険適用の治療法のため、費用を安く抑えられるメリットがあります。(保険が適用されるには使用する素材に制限がかかってしまいます。)

治療内容について以下にまとめました。

 

ブリッジ

 

喪失歯の両隣を削り土台とすることで橋をかけるように人工の歯を被せる方法。

 

<メリット>

違和感が少なくしっかり噛める。治療期間が短い。

 

<デメリット>

両隣の歯は健康な状態であっても多めに削らなくてはならない。

入れ歯

 

入れ歯はブリッジと同様に両隣の歯にバネを装着し人工歯を安定させます。

 

<メリット>

残っている歯を削る必要がない。ブリッジと比べ、適応できる範囲が多い。

 

<デメリット>

両隣の健康な歯をバネで傷つけてしまう恐れがあります。

インプラント治療のメリット

1.自然な見た目と感触

インプラントの素材は、セラミックやジルコニアが使用されています。セラミックやジルコニアには自然な光沢があり、自分の歯のように見えることが特徴です。

また、インプラントは自分の歯で噛む感覚がしっかりと残ります。入れ歯では食べ物が詰まりやすかったり、噛みにくさを感じたりしますが、インプラントは顎に人工的な歯根を埋め込むため、しっかりと顎に咀嚼の刺激を与えることができます。

「咀嚼機能の維持は、適正な栄養状態を維持することに重要である」といわれており、健康的な生活を送るためにもインプラントは有効的であるといえます。[2]

 

2.長期的な耐久性

一般的にはインプラントの寿命は10〜15年といわれています。寿命というのは顎に埋め込む人工的な歯根が細菌感染などにより脱落してしまうことを指します。

自宅で行う歯磨きなどのセルフケアに加え、定期的に歯科医院でメンテナンスを行うことでインプラントは半永久的に使用することも可能です。

逆にメンテナンスを怠ると寿命が短くなってしまうため注意が必要です。

3.歯を削る部分が少ない

健康な歯を削るということは、歯を弱くする可能性があります。また、削った部分に細菌が付着しやすく虫歯のリスクが高まってしまうのです。

インプラント治療はブリッジ治療のように隣の歯を削る必要がないため、健康な歯を守ることができます

これらのメリットを得るためには、適切な治療計画と技術が必要であり、そのためには経験豊富な歯科医の選択が重要です。

 

インプラント治療のデメリット

 

1.治療費が高額となる

インプラント治療は保険適用外であり自費診療のため「入れ歯」や「ブリッジ」などに比べると治療費が高額となります。1本あたりの全国平均費用は30万前後という報告があり、数本の治療が必要である場合はかなりの高額となってしまいます。

2.手術による身体的負担がある

インプラントは顎の骨に人工的な歯根を埋め込む外科的な手術が必要となります。そのため、大きな持病を抱えている方や体力が低下している方は合併症を起こしやすかったり、手術が難しい場合があります。

インプラント治療が行えるかは歯科医師の判断となりますので、しっかりとしたカウンセリングや治療計画が必要となります。

3.感染の可能性

インプラントは自然な歯と比べて炎症への抵抗力が弱いため、1度細菌感染してしまうと重症化する可能性があります。感染を予防するため、丁寧なブラッシングや定期的なメンテナンスを行いましょう。

4.治療期間が長く、メンテナンスが必要

治療期間は患者さんの身体の状態や骨の量、治療の難易度によって変わりますが、約3ヶ月から半年を要することが一般的です。

インプラントを長く使用するためには、感染を予防するためにも定期的なメンテナンスが必要です。

歯科医院で行うメンテナンスには、レントゲンで顎の骨や残存歯の状態をチェックしたり、クリーニング、ブラッシング指導などを行います。お口の健康診断と考え、インプラントと長く付き合っていくためにも定期的にメンテナンスをしていきましょう。

 

まとめ

インプラント治療は、その高い機能性と自然な見た目から、多くの患者さんに選ばれています。

メリットとしては、「自然な見た目と感触」「長期的な耐久性」「自分の歯を守れる」点などが挙げられます。一方、デメリットとしては、「費用が高額になる」「治療期間が長くなる」「手術を伴うためのリスク」などが考えられます。

治療を受ける前にはしっかりと情報を得て、自分にとって最適な選択をすることが大切です。患者さま自身が納得して治療を行えるよう、歯科医師と十分にコミュニケーションをとりながら進めてください。

 

参考文献

[1]歯の喪失の原因eヘルスネット|厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-04-002.html

[2]咀嚼機能が支える高齢寿命社会|一般社団法人老年医学会

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/press_seminar/report/seminar_04_02.html

 

 

 

あだち歯科クリニックHPはこちら