歯周病治療後のメンテナンスで再発を防ぐ!定期検診の重要性

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監修者

月俣 育美
院長
なるみ歯科クリニック

経歴

九州歯科大学付属衛生学院卒業
福岡歯科大学歯学部卒業
平成16年8月:社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院退職
平成29年3月:福岡歯科大学口腔医療センター退職
平成29年4月:医療法人 松月会 なるみ歯科クリニック
平成29年4月:福岡歯科大学口腔医療センター非常勤

資格

日本歯周病学会認定医
口腔心身症学会会員

「歯周病は治療が終了したらもう大丈夫!」

そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、歯周病治療で重要となるのは治療後からです。

歯周病は再発しやすい病気であるため、治療後も定期的なメンテナンスを継続する必要があります。今回は、歯周病治療後のメンテナンスの重要性について詳しく解説していきます。


歯周病は再発しやすい病気?!

歯周病は、30歳以上の約80%が罹患していると言われています。[1]原因は歯周病菌であり、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌の塊の中で増殖し歯ぐきに炎症を引き起こします。

歯周病は初期段階では自覚症状が現れにくく、気づかないうちに進行してしまうケースも多いです。そして、歯周病は自然に治癒することはなく、放置すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまい、最終的には歯が抜け落ちてしまう可能性もあります。

歯周病治療後の安心は危険?

歯周病の治療後、腫れや出血などの症状が改善されると、完治したと勘違いしてしまう方もいらっしゃいます。しかし、歯周病菌は完全に除去することが難しく、歯周ポケットの奥深くや、歯ぐきの奥深くなどに潜んでいることがあるのです。そのため、歯磨きなどでは除去しきれないことがあります。

また、歯周病菌は、「バイオフィルム」と呼ばれる、細菌が自ら作り出す防御壁のようなものを作って増殖します。バイオフィルムは、抗生物質や体の免疫細胞などが届きにくいため、歯周病菌を完全に除去することを難しくしているのです。

よって、歯周病治療後も歯周病菌は再び増殖し、再発する可能性があります。さらに、再発した歯周病は進行しやすいため、注意が必要です。

なぜ定期検診が必要なの?

歯周病治療後も、再発を防ぎ、健康な状態を維持するためには、定期検診を受けることが重要です。定期検診では、主に「プロフェッショナル・メカニカル・プラークコントロール」と呼ばれる、歯科医師や歯科衛生士による専門的な歯のクリーニングが行われます。

歯周病治療後の歯ぐき・歯周ポケットの状態

歯周病の治療後、歯ぐきは健康な状態に近づきますが、歯周ポケットと呼ばれる、歯と歯ぐきの間の溝は、以前より深くなっている場合があります。歯周ポケットは、歯周病菌が潜みやすい場所であるため、定期検診でしっかりとクリーニングする必要があります。

歯周病菌の隠れ家

歯周病菌は、歯周ポケット以外にも、歯の表面の細かい溝や、被せ物と歯の隙間など、さまざまな場所に潜んでいる可能性があります。これらの場所は、毎日の歯磨きだけでは、汚れを完全に取り除くことが難しく、歯周病菌の温床になりやすいため、定期検診による専門的なクリーニングが重要になります。

毎日のセルフケアだけでは不十分?

毎日の歯磨きなどのセルフケアは、歯周病予防にはもちろん重要ですが、セルフケアだけではどうしても限界があります。歯ブラシが届きにくい部分や、歯石など、セルフケアでは除去できない汚れもあるため、定期検診を受けて、歯科医師や歯科衛生士による専門的なクリーニングを受ける必要があるのです。

高齢者へのアプローチ

高齢者は歯周病の割合が高くなるといわれています。その原因は唾液が減少し細菌が増殖する環境が作られたり、手先の筋力低下などにより口腔ケアが十分に行われていないなどがあげられます。

そのため高齢者ほど定期的なメンテナンスが重要となるのです。

定期検診では何をするの?【具体的な内容】

歯周病治療後の定期検診では、歯周病の再発を防ぎ、お口の健康を維持するために、さまざまな処置や検査が行われます。

歯周ポケットの深さの測定

歯周ポケットの深さは、歯周病の進行度合いを知るための重要な指標となります。歯周ポケットの深さを専用の器具を使って測定することで、歯周病の状況を把握し、適切な処置を行うことができます。

歯石除去(クリーニング)

歯石は、歯垢(プラーク)が唾液中のカルシウムなどと結びついて固まったもので、歯ブラシでは除去することができません。歯石は、歯周病菌の温床となるため、定期検診で専用の器具を使って除去する必要があります。

また、麻酔をしないと歯石が取れない箇所があるため、必要に応じて麻酔をしてからメンテナンスを行うのが重要です。

歯磨き指導

歯周病予防には、毎日の歯磨きなどのセルフケアが非常に重要です。定期検診では、歯科衛生士から、患者さん一人ひとりの口腔内の状態に合わせた歯ブラシの選び方や、効果的なブラッシング方法などの指導を受けられます。正しい歯磨き方法を身につけると、歯周病菌の増殖を抑え、歯周病を予防できます。

噛み合わせのチェック

噛み合わせが悪い場合、特定の歯に負担がかかり、歯周病を悪化させる可能性があります。定期検診では、噛み合わせのチェックを行い、必要があれば、噛み合わせの調整を行いながら歯周病の予防に繋げます。

必要に応じた治療

定期検診で、虫歯や歯周病などの問題が見つかった場合には、必要に応じて治療を行います。早期発見・早期治療は、お口の健康を維持するために重要です。

なるみ歯科クリニックの歯周病治療後のメンテナンス

当院では、歯周病治療後のメンテナンスに力を入れております。患者さん一人ひとりの口腔内の状態やライフスタイルに合わせて、最適なメンテナンスプログラムをご提案させていただきます。

患者さん一人ひとりに寄り添ったサポート

歯周病の治療後も、患者さんのお口の健康を長期的にサポートさせていただくために、患者さん一人ひとりとしっかりコミュニケーションを取りながら、最適な治療や予防の提案を行っています。

分かりやすい説明

治療やメンテナンスの内容については、患者さんにご納得いただけるまで、丁寧に分かりやすく説明することを心がけています。治療に関する疑問や不安などございましたら、お気軽にご相談ください。

まとめ|歯周病を予防し、健康な歯を保ち続けましょう!

今回は、歯周病治療後のメンテナンスの重要性について解説しました。歯周病は再発しやすい病気であるため、治療後も定期的なメンテナンスを受けることが重要です。


なるみ歯科クリニックでは、日本歯周病学会認定の歯周病認定医である院長が、歯周病治療から予防、メンテナンスまで一貫して行います。歯周病治療後のケアや、定期検診についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

[1]特定非営利活動法人日本歯周病学会|https://www.jacp.net/perio/about/

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